院長ブログ

ゆっくり急げ~Fastina lente~

20周年を迎えて What’s next ?
2019.10.28

今年の10月1日、
父の後を継承して、甘利内科呼吸器科クリニックを開業してから20年を迎えました。
継承という形でしたので、大きな借入金も無く、
同じ地区の篠ノ井総合病院からの独立でしたので、
「患者さんを集める」とか「収益を確保する」といった
プレッシャーもなくスタートを切ったと記憶しています。

 

開業当初、大志を抱いていたわけではなく、
とにかく「自己流にならない。」
「世界中のどの医師が見ても正しいと言える治療をする」を大切に、
目標設定もせず、遠い未来も考えず、
じっくりと余裕を持って進むことを考えてスタートしました。

 

そして
開業して12年後の2011年に開設したこのブログを読み返すと、
「誰かに話してみたくなるクリニック」、 「festina lente(ゆっくり急げ)」など、
この時も同じようなことを考えで診察していたと思います。

子供の頃、クラーク博士の「少年よ大志を抱け」のように、
大きな夢を持ってそれに向かって進む・・・が大切のように思っていました。
そして、多くの人たちが目標を立て(目標を示され)
それに向かって進むことを良しと教育され、
そう考えているように思います。
しかし、大きな目標や見えてこない将来に、
時には頑張り続けることが困難な状況もあるように思います。

 

ある登山家の方の話ですが、
「頂上が遙か遠くだったり、天候や条件の変化で予定が遅れてしまうことがある」
「その様な時、遠くの頂上を見ながら登ると、
知らず知らずのうちに先を急ぐようになり、
リスクが高くなったり、体力を消耗してしまう」
「そして、そのことが更なる遅れが生じたり、
さらにリスクを増やしたりしてしまう」。
だから、そのような時は
「すぐ目の前の1歩に集中する。」
「そして1歩また1歩・・・と目の前の1歩に集中すると、
急ぐ気持ちが薄れ、自分のペースを保てるようになる」。
「まず1歩、次の1歩と進めるうちに、集中力が高まり、
ふと山頂が目の前にあることに気がつく」と話しておられました。

 

「What’s next?(次は?)」
これは、1つの目標を達成した時や
仕事に区切りがついたときに
よく自問自答したり、他人から聞かれる言葉です。
開業20年を迎えた今、
私はそれを明確に答えることはできません。
10年後をイメージできませんし、カルテ番号30.000も目標とはなりません。
今「What’s next?」と問われれば、
答えは「目の前の1歩」でしょう。
目の前の1歩、次の1歩・・・
行く先も、あきらかな目標も今は見えませんが、
今は自分の目の前の1歩を進もうと考えています。

 

開業当時の1歩と20年後の1歩、
その歩幅はどのように変わっただろうか・・・?
より質の高い1歩であることを期待しながら・・・

 

===甘利内科呼吸器科クリニック==呼吸器内科==アレルギー科==長野市==

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