院長ブログ

ゆっくり急げ~Fastina lente~

子育て卒業
2019.3.23

私には2人の子供がいます。

長男は6年前に社会人になり、今春長女も社会人になります。

 

長男は小学生の頃から、

学校での勉強に好き嫌いが多いタイプでした。

高校2年生の夏・・

高校卒業後の進路を心配していたところ、

突然「プロダクト デザイナーになる」と進学を決めました。

子供の頃から絵を描くのは上手でしたが、

それほど際立っていたわけではありませんでした。

長男は何の準備もないまま、

親が考えてもみなかった方向を目指し、

プロダクト デザインの専門学科に進学しました。

 

実は、息子の子育てで「あの時は失敗したな・・・」と

今でも反省しているエピソードがあります。

それは、大学3年の冬・・長男が就職活動を始めた時のことです。

民主党政権下の就職氷河期に、

募集定員の少ないデザイナーとして採用されることを目指す長男に、

「デザイナーになれなければ、どうする気なの?」と尋ねてしまったことです。

その時「デザイナーになることしか考えていない」と言い切った息子は、

単純計算で100倍以上の競争率を勝ち抜き、大手電機メーカーに就職を決め、

今もデザイン部門で「楽しんでいる」と言って働いています。

あの時・・「おまえの決めた道を信じて進め」と背中を押すのが役割だったのに、

私にその勇気がありませんでした。

その後、

親の価値観を子供に押しつけようとした私の失敗は、

長男が就職活動早々に内定を得たことで、幸いにも救われました。

数年後、長男に「あの時はゴメンな・・」と謝りましたが、

長男は「覚えていない・・・」と笑っていました。

そう言ったのが、

長男の優しさなのか・・・・

本当に記憶にないのか・・・・

 

長女は学校の勉強は長男に比べると安心していられました。

小さい頃から習っていたピアノに加え、

吹奏楽、バンドと音楽が好きだった長女は

「音響工学の勉強をしたい」と工学部を志望していました。

長女の進路については、どこか入れる大学に進学して

好きな道を進めば良いと考えていたので、

高校2年の春・・・

突然「医学部に行く」と言い出した時には正直慌てました。

 

もちろん、それなりに勉強はしていましたが、

トップクラスという成績ではありませんでした。

最近の医学部は、私の頃とは比較にならない程の難関です。

「今から間に合うのか?」と言いたい気持ちもありましたが、

一方で、同じ理系だし、ダメでも他の道へ進めば良い・・と、

どこか楽観していたところがありました。

しかし、親は逃げ腰でしたが、長女は違いました。

進路を決めた以降、

ピアノ以外の趣味をすべて断ち、

友達や家族からの遊びの誘いも断ち、

真っ向から受験勉強に立ち向かいました。

親も呆れるほどの集中力を見せた長女は、

現役で入学を果たし、入学後も足踏みすることなく、

医師国家試験合格まで駆け抜けました。

 

いまこうして振り返ると

何度か失敗があったものの、

親の私が子供達の進路を邪魔をしないで済んだことは

幸運だったと思います。

 

そして、子育て終わりに感じるのは、

「自分を信じて、なりたい自分を目指す勇気」の大切さと

意志や努力だけでなく

幸運に恵まれ、人に恵まれてきたことへの感謝です。

 

2人の子供達へ・・・

父と母は貴方たちの子育てを

本当に楽しませてもらいました。

そして・・・・

もちろん、これからも楽しみにしています。

 

==甘利内科呼吸器科クリニック==長野市==呼吸器内科==

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