以前から都市部より農村の方が喘息が少ないことは知られています。
先日、世界でもっとも権威のある医学雑誌の一つである、The New England Journal of Medicineで、
「農家にすむ子供の方が多彩な微生物に触れるために喘息やアトピーの発症が少ない」という論文が出ました。
Exposure to Environmental Microorganisms and Childhood Asthma(N Engl J Med 2011;364:701-9.)
近年、喘息を初めとするアレルギー疾患は増加していて、その理由として衛生仮説が上げられます。
衛生仮説というのは、簡単に説明すると下記のようになります。
リンパ球のうち免疫司令塔の役割をするのはTリンパ球です。
Tリンパ球は細胞傷害性Tリンパ球とヘルパーTリンパ球に分かれます。
ヘルパーT細胞はTh1細胞とTh2細胞に分かれます。
細菌感染を起こした場合はTh1細胞が増えるように働きます、アレルギー反応が起きるとTh2が増えるように働きます。
Th1とTh2はバランスを取って生体内の免疫をコントロールしています。
Th1とTh2は同じ細胞(Thp細胞)から分かれて作られます。
細菌と接触する機会が減るとTh1細胞があまり作られず、その分Th2細胞が増えてアレルギーを起こしやすくなります。
じゃあ、不衛生な環境になれば喘息は治るのでしょうか?
そう、うまくはいきません。
まだ、喘息にになっていない人は確かに喘息になる確立か減るでしょう。
しかし、もうすでに喘息になっている人は家ダニやハウスダストが増えてしまうわけですから危険です。
衛生仮説というのは、喘息の発症予防としては魅力的ですが、すでに喘息になってしまった方はアレルギーの原因から離れることが原則ですのでお間違えなく。
長野市 篠ノ井 内科・呼吸器内科・アレルギー科 甘利内科呼吸器科クリニック