脚本 宮藤官九郎 監督 水田伸生 主演 阿部サダヲ、これは面白いに違いないと映画館に出かけました。
冒頭に井上真央演じる典子が車を急にバックさせて、止まっていたヤクザのベンツに衝突してしまう。
帰国子女の典子は「いったん謝れば、後の裁判が不利なる」と謝らない場面があります。
なるほど、今の社会の風潮を描いているシーンで、この映画の大切なコンセプトを示唆しているのですが、
ふと思い出したことがあります。
私が研修医の頃にお世話になった上司のX先生は、
担当した患者様のご臨終の際に「お力になれずに、申し訳ありませんでした。」と頭を下げていました。
それが突然搬送されてきた末期癌のような、どんなに避けられない死であっても
「医師として病気を治してあげられなかった」という思いが、その言葉には込められていたのでしょう。
そんな上司の姿に私はプロフェッショナルとしての意識の高さと誇りを感じ、
私も患者様のご臨終に際して、その言葉を使うようになりました。
しかし、数年後・・・・・
医療現場でも帰国子女・典子のような考え方が主流になり、私もいつしかその言葉を言うことはなくなりました。
その後、私の上司だったX先生は病院をやめて、患者さんを診察することを止めてしまいました。
X先生が臨床医をやめられた本当の理由はわからないけれど、
X先生が医師として誇りを持ってやっていくには、少々やりにくい医療現場になってしまったのかもしれません。
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