患者さんが内科を受診する時の理由(主訴といいます)で、「咳」は多い症状の一つです。
風邪を引いた時などははもちろん、何ヶ月も続く咳で悩まれて受診される患者さんも多いです。
たとえ1日数回の咳であって、とても気になる症状であるのはよくわかります。
私自身も咳が出ることは気になるものです。
しかし、咳のすべてが悪い所見・・・と言うわけではないのです。
出るべくして出る咳、体を守るために出る咳もたくさんあります。
たとえば、気管に小さなゴミや異物が入ると排除するために咳が出ますね。
あと気管に痰がある時には、痰を出すために咳が出ます。
ご高齢の方で多いのですが、食事の時などにちょっと誤嚥(気管に食べ物や唾液が入る)すると咳が出ます。
このような咳をむやみに咳止めで止めてしまうと、痰は外に出にくくなるし、
誤嚥した食べ物が肺の奥に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
つまり、痰などが絡んだ湿った咳は体を守るために出ている咳で、咳自体は正しいことをしているとも言えます。
ですから湿った咳の治療は、単純に咳止めを使用するというよりは、
気管にある痰などの邪魔者を排除することを優先する方が理にかなっています。
逆に痰の出ない乾いた咳は咳自体を止める手立てを考えなくてはいけません。
咳が出て困ったときに、咳がでる状況をよく観察してみてください。
そして、痰の絡んだような湿った咳や食事中や食事直後の咳の時には、
簡単に咳止めで咳を止めない方がよい場合もありますからご注意ください。
=長野市 呼吸器科 アレルギー科 甘利内科呼吸器科クリニック