ラジカル アクセプタンスは現実や自己を否定せずにありのままを受け入れて、その上で変化を促す心理療法や心理学の考え方で、現状を否定しないで受け入れることで前向きな変化が生まれるとされています。
小児精神科医の内田舞さんがその著書の中で、北京オリンピックの男子フィギュアスケート ショートプログラムで羽生選手を襲った不運を例に挙げてラジカル・アクセプタンスを説明しています。
3大会連続金メダルを目指した羽生選手は冒頭の4回転ジャンプの時に、前の選手が残した氷の溝にはまってしまい失敗してしまいますが、残りの演技をこれ以上無いという美しい演技で滑りきりました。不運を引きずらないですぐに次にすべきことに集中する、それは素人の私が見ても「やっぱり羽生選手が王者だ」と感動する演技でした。
私は今シーズンの開始直前に大谷選手を襲ったスキャンダルでも同様のラジカルアクセプタンスを感じました。今シーズン直前に明らかになった信頼していたパートナーの裏切り行為、その衝撃は計り知れず誰もが大谷選手のプレイに影響が出ることを心配したのではないでしょうか? しかし私たちの心配をよそに、大谷選手は今のところ好成績を残しています。大谷選手もまた「それは、それとして受け入れた上で」今集中すべきことに集中しているのでしょう。
私はラジカル アクセプタンスはアスリートだけの者ではなく、私たちのような一般人にとっても大切な考え方だと思います。
病気になったとき、運が悪かったとき、失敗してしまったとき・・・何故こんなことになったのか・・なんて不運なんだ・・と悔やむより、それはそれとして受け入れて、今から出来ることを考えるのが治療のためには大切だと考えます。
当院のホームページの最初に「今、ここから先の未来のために」と記したのも「受け入れて前に進む」ことが大切だと感じているからです。
当然ですが、ラジカルアクセプタンスは「問題の先送り」であってはいけません。問題点を分析して反省すべきことは反省して失敗を繰り返さないようにすることは、それに捕らわれるわけではなく受け入れて前に進むための過程にしていくべきだと思うのです。
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