院長ブログ

ゆっくり急げ~Fastina lente~

進化する喘息治療とガイドラインについて
2022.2.20

私たち臨床医の日常診療において、ガイドラインは重要でかかせないものです。

ガイドラインの方向性に従って治療を進めることで、専門外の病気であっても一定の水準で診療できますし、時代遅れの古い治療や医師個人の「俺流の治療」になるのを防げます。また患者さんもガイドラインにそった治療を受けることで一定水準の治療を受けられることになります。

気管支喘息にもガイドラインがあり、国内では日本の学会で作成された『喘息予防・管理ガイドライン』(JGL)を参考にしながら治療をしていくことになります。また少し喘息診療に興味がある医師は日本のガイドライン以外に、喘息の国際指針として世界的に標準となっているガイドラインである『Global Initiative for Asthma』(GINA) を参考にすることも多いです。GINAは国際的であるのと同時に、毎年アップデート版が公開されているので、3年おきに更新する日本のガイドラインより常に情報が新しいのも魅力です。

情報化が進んだ現代では日本と海外で治療方針が大きく変わることはないので、日本のガイドラインと国際的なGINAのガイドラインはほぼ共通なものになりますが、最新の日本のJGL2021と国際的なGINA2021では軽症〜中等度症の治療方針でやや違っている点があります。

日本のJGLでは軽症でほとんど症状がない患者さんでも、毎日ベースとなる吸入薬を続けるべきとしているのに対して、国際的なGINAでは普段の無症状な時は治療しないで、症状が出た時にブデソニド/ホルモテロール吸入剤(シムビコートなど)をその場で吸入するという方法も提案されています。(注意:日本では保健適応外の使い方になります)

日本のJGLと国際的なGINAにはそれぞれに科学的根拠があり、現時点でどちらが優れているのかは決められません。日本のように医療機関へのアクセスも良く医療費も安い国と、医療費も高く気軽に受診できない国では考え方に差が出るかもしれません。

医療の進歩が著しい現在において、ガイドラインもまた進歩し改善されています。

「喘息と診断されたけど・・・この先どうすれば良いのでしょう・・・」そんな疑問があればご相談ください。

日本のガイドラインはもちろん、国際的なガイドラインも参考にしながら、貴方にあった治療方法を提案することはできると思います。

==甘利内科呼吸器科クリニック==長野市==呼吸器内科==アレルギー科==

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