院長ブログ

ゆっくり急げ~Fastina lente~

医療機関におけるコロナ禍と「論語と算盤」
2020.9.6

近代資本主義の父と言われる渋沢栄一さんが
その経営思想を語った「論語と算盤」の中に
逆境について書かれた一説があります。
 
世の中に逆境が絶対にないとは言い切ることは出来ないので、
もし逆境にあったときは、
それが人為的逆境であるか自然的逆境であるかを区別して、
これに応じて策を立てるべきと書かれています。
 
コロナ禍による逆境のほとんどは自然的逆境ですが、
自然的逆境の置かれた場合の
対処については次のように書かれています。
 
「もし何人でも自然的逆境に立った場合、
自己の本文であると覚悟するのが唯一の策であると思う。
足るを知りて、分を守り、これはいかに焦慮すればとて、
天命であるから仕方がないと諦めるならば、
いかに処しがたき逆境にいても心は平らかを得るに相違ない。
しかるに、もし自然的逆境を全て人為的に解釈し、 
人間の力でどうにかなると考えるならば、
いたずらに苦労の種を増すばかりか労して功のない結果となり、
ついには逆境に疲れさせられて、
後日の策を講ずることも出来なくなってしまうであろう。
ゆえに、自然的の逆境に処するに当たっては、
まず天命に安んじ、
おもむろに来たるべき運命を待ちつつ、
たゆまず屈せず勉強するがよい。」 
 
 
 バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災など
近年の日本の危機に際して、
私たち医療機関はダメージを受けてきませんでした。
新型コロナウイルス感染症は、私が経営者として初めて体験する
診療、経営の両面で難しい局面です。
自分自身や家族、スタッフやその家族、
そして何より自院の患者さんを
新型コロナウイルスから守らなくてはいけませんし、
経営悪化のリスクにも対応しなくていけません。
 
いつ終わるかの目処も立たないコロナ禍の中、
自分に出来る対策をする一方で
「自然的逆境だから仕方ない」と
「心平らかに」
たゆまず屈せず、勉強しながら待つ・・・
そんな心持ちで
日々診療を継続していこうと考えています。
 
==甘利内科呼吸器科クリニック==呼吸器科==アレルギー科==長野県長野市===
 

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