院長ブログ

ゆっくり急げ~Fastina lente~

若い人にも優しい医療制度
2019.8.16

若者の投票率が低いことについては、選挙のたびに話題になります。
先日の選挙後の各テレビの特集番組でも、
そのことについて話題になっていました。
その中で、1つ「なるほど・・」と思える意見がありました。
それは、「若者が政治離れしていると言うよりも、
政治が若者から離れてしまっている」という意見です。

 

現在から近い将来へと議論される時に、
若者の問題より、高齢化対策の話題が多い印象があります。
また、政策も選挙に結びつきやすい
高齢者対策の方が議論が多い印象があります。
確かに少子化対策など若者への対策もありますが、
それは年配の方の価値観に左右されていて
中年層の私から見ても机上の空論に見えます。

 

そんなことを考えながら討論を聞いていると、
似たようなことは医療制度でもある・・と思いました。

 

当院は気管支喘息の患者さんが多く受診されます。
気管支喘息は若い頃に発症することが多く、
症状が改善しても継続して治療が必要な病気です。
しかし、喘息の症状が落ち着き安定すると無症状になるので、
治療を中断してしまう人が多くいます。
治療中断によって悪化して受診される患者さんのお話しで、
よく話題になるのは薬の値段です。
特に吸入薬は選択できるジェネリック医薬品もほとんどなく、
薬剤費が高くなり負担になります。

 

確かに日本は医療保険制度が充実していて、
海外より医療費や薬剤費が安いのは事実です。
しかし、基本1割負担の高齢者の患者さんでも、
吸入薬が高価であると口にする方もいますので、
基本3割負担の若い患者さんにとって、
薬剤費が負担になるのは理解できます。
喘息の状態が不十分なまま社会生活を送ることは、
その方のパフォーマンスの低下を招き、
社会的な損失にもつながります。

 

医療制度が高齢者の方に優しくあるのは大切です。
しかし、多くの負担で医療制度、介護制度を支えている、
若者にとっても優しい医療制度が必要なのでは?と感じるのです。

 

医療制度もまた、今の政治と同じように
病気で治療が必要な若者への関心を失っているのかもしれません。

 

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